脊椎手術相談外来
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脊椎手術相談外来のご案内
当院では、2016年よりしびれ外来を開始し、さらに2019年に脊椎センターを開設し、脊椎外科専門医による腰や首などの脊椎の手術も数多く行なっております。
全例の手術で、手術用顕微鏡を用い、非常に安全かつ確実な手術を行うことが可能で良好な成績をおさめております。
当初は主にしびれ外来で脊椎の病気の診察を行なっておりましたが、しびれ外来では、まずしびれの原因をみつけるまでに念入りな診察、検査などで多くの時間が必要で、枠に限りがあるため予約がだいぶ先になってしまっている状況です。
脊椎手術相談外来では、脊柱管狭窄症や頚椎症などの診断がすでについていて内服治療では改善しないような方を対象とし、手術に特化したお話をさせていただきます。
完全予約制なので一般外来と違いゆっくりご相談いただくことができます。
すでにこのような患者さんは、だいぶ症状が進行していることが多く、数ヶ月先の予約では症状がさらに進行してしまう可能性があるため、新たに手術専門外来を開設いたしました。
腰や首の手術をご希望される方は、脊椎手術外来にご相談ください。
手術相談外来 診療日
完全予約制火曜日 午後
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
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9:00〜12:00 | |||||||
14:00〜17:00 | ● |
※ご希望の方は、予約専用ダイヤルにてお申込み下さい。
予約専用ダイヤル 0294-52-8529(受付時間13:30~17:00)
頚椎症
頚椎症とは、骨の変形や靭帯の肥厚、椎間板ヘルニアなどによって脊髄や脊髄から出る神経(神経根)を圧迫する病態です。
主な症状として、首の痛み、手や腕のしびれ、肩甲骨の痛みなどですが、進行してくると腕の力が低下したり、指先の細かい作業ができなくなったりします。さらに悪化すると歩行ができなくなります。内服治療や理学的治療で症状が改善しない時に手術を行います。基本的には首の前から侵入する方法と後ろから侵入する方法の2種類あり、病状によって使い分けます。

頚椎症の手術
頚椎前方固定術(首の前方からの手術)
仰向けの状態で右頚部の皮膚を横に切開し、頚動脈と気管・食道の間から侵入して、頚椎の前面に到達します。その後、圧迫の原因となっている骨や靭帯、ヘルニアを切除します。椎間板はほぼ取ってしまうので、手術後に椎体がグラグラにならないように、椎体の間にチタンでできた永久埋込型のMケージと呼ばれる円筒形の筒を挿入し固定します。ケージ内には骨同士が癒合するように、御自身の骨や人工の骨を入れます。


頚椎椎弓形成術(首の後方からの手術)
首の後ろを正中に切開して頚椎の後面に到達し、ドリルで棘突起(皮膚を押すとごりごり触れる尖った部分)と椎弓(棘突起のふもとの部分)を削り脊柱管という脊髄の通り道を広げる手術です。これらの処置により拡大した後ろのスペースに脊髄が移動し圧迫が解除されます。広がった椎弓が元に戻ってこないようにバスケットケージというチタン製のプレートを広げた椎弓にはさみ込み、強固な固定が得られるようにします。


腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは、長年の腰の酷使や加齢などが原因で腰の神経の周りの組織である黄色靭帯が肥厚したり、骨が変形したりして神経が圧迫される病気です。
主な症状は、おしり〜太ももにかけての痛み(坐骨神経痛)や足のしびれですが、最も特徴的な症状は、長い距離を続けて歩くことができない間欠性跛行(かんけつせいはこう)で、少し休んだり、腰を前かがみにすると症状が軽減されます。進行すると、足の力が落ちたり、肛門周囲の感覚がおかしくなったり、尿の出が悪くなるといった症状が出てきます。頚椎症と同様に内服治療や理学的治療で症状が改善しない時に手術を行います。

腰部脊柱管狭窄症の手術
腰椎椎弓形成術
最も一般的な手術です。腰にまっすぐ切開を入れ、棘突起(皮膚を押すとごりごり触れる尖った部分)の中央をカッターで左右に分割し、椎弓(棘突起のふもとの部分)を露出します。その後ドリルで神経の圧迫の原因となっている椎弓の一部を削り、さらに分厚くなった靭帯(黄色靱帯)の切除を行い、神経の圧迫を解除します。黄色靱帯は切除しても体の機能としては全く問題ありません。以前は棘突起も含めて全て削る手術が主流だったのですが、手術後に重苦しい腰の痛みが続くことが問題となっておりました。当院で行なっている棘突起を温存する方法では、棘突起の左右には筋肉も付着しているので、筋肉も温存されるので手術後の腰痛は軽度となります。なるべく体に優しい低侵襲手術を心がけております。


腰椎すべり症
腰椎すべり症とは、腰椎の関節の一部が変性し、周囲の靭帯も弱くなることで腰椎がずれてしまう病態です。このずれのため、骨の内部の神経が前後に引っ張られて圧迫されてしまいます。
主な症状は、腰部脊柱管狭窄症とほぼ同じで、おしり〜太ももにかけての痛み(坐骨神経痛)や足のしびれ、長い距離を続けて歩くことができない間欠性跛行(かんけつせいはこう)などです。腰部脊柱管狭窄症と同様に進行すると、足の力が落ちたり、肛門周囲の感覚がおかしくなったり、尿の出が悪くなるといった症状が出てきます。内服治療や理学的治療では症状が改善しない時に手術による治療を行います。

腰椎すべり症の手術
腰椎椎体間後方固定術
英語表記を使うことが多く、PLIF(プリフ)と呼ばれている手術です。神経の圧迫の原因となっている骨をドリルで削り、元々変性のためにあまり役に立っていない関節も一部切除し、神経の圧迫を解除します。その後を椎間板(骨と骨の間のクッションの役割をしている組織)を切除して、そのスペースにチタン製のケージを挿入します。これをすることで椎間板の高さが上がり、神経の圧迫がさらに解除されることが期待できます。さらにケージの周りの椎間板スペースにはご自身の骨や人工骨を移植し将来的に骨癒合をはかります。骨癒合には数ヶ月かかるので、それまで背骨が不安定にならないように、チタン製のスクリューを挿入し強固な固定をします。このスクリューにロッドと呼ばれる棒を上下でつなぐことで、特殊な機器を使い適度に矯正が可能で、ずれてしまった腰椎の配列も正常な状態に近づけることができます。


末梢神経障害
脊椎センターでは、脊椎疾患だけでなく、しびれや痛みの原因となる手根管症候群や肘部管症候群などの末梢神経障害に対しても積極的に手術を行なっております。もちろん安静や内服薬などで改善するものに対しては、手術をすることはありませんが、我慢できないほどの痛みやしびれで日常生活を著しく支障をきたしてしまっていたり、不眠の原因になってしまっている方に対しては、手術をすすめております。
手術は、基本は局所麻酔ですが、麻酔科専門医による全身麻酔も可能ですので、ご希望や全身状態に応じて選択しております。手術は、脊椎の手術と同様に、手術用顕微鏡を用いて安全かつ確実に行なっております。
手根管症候群
手根管とは、手のひらの手首付近で親指の根元の膨らみと小指の根元の膨らみとの間にあるトンネルをいい、その中には正中神経という神経が通っています。
手根管症候群とは、何らかの原因でこのトンネルが狭くなり正中神経が圧迫され、手の指にしびれや痛みが出たり、力が入りにくくなる病気です。夜間や明け方に症状が強くなるといった特徴があります。
多くは、親指、人差し指、中指がしびれる事が多く、ひどくなってくると、手のひら全体がしびれてきたり手首付近まで放散することもあります。さらに悪化すると親指の付け根の筋肉が萎縮してきて、物をつかんだりするのに支障をきたすようになります。

手根管開放手術
局所麻酔を手根管の表面の皮膚に浸潤させ、同部を2cmほど切開します。皮下の脂肪組織や筋肉の一部を切開し、さらにその下の手根管のトンネルの屋根となっている靭帯を切開して正中神経を露出させ、圧迫を解除します。その後、止血を確認して皮膚を縫合して終了します。手術時間は約15〜30分です。

肘部管症候群
肘部管とは肘の内側で骨の2つの出っ張り(上腕骨内側上顆と肘頭)との間にあるトンネルをいい、その中に尺骨神経(しゃっこつしんけい)が通っています。肘部管症候群とは何らかの原因で、このトンネルが狭くなり尺骨神経を圧迫するために小指、薬指にしびれや痛みが生じたり、力が入りにくくなる病気です。ひどくなってくると前腕や肘までしびれてくるようになります。

肘部管開放手術
肘の内側を約8cmほど切開します。皮下の脂肪組織や上腕部の筋肉などを切開して尺骨神経を確認します。その中枢側と末梢側で筋肉に入るところで圧迫があればそこを切開して神経を開放します。さらに肘の骨が神経の圧迫の原因となっている場合は、骨の一部をドリルで切除します。肘を曲げ伸ばししてみて、神経が圧迫していないことが確認できたら、縫合して終了します。
